全国災害ボランティア議員連盟の定期総会で感じたこと

 全国災害ボランティア議員連盟第1回定期総会が、日本教育会館(東京都千代田区)で開催されました。

 50名ほどが集まった中に、IVUSA(国際ボランティア学生連盟)がスタッフをやっておりました。IVUSAといえば、平成16年の三重県豪雨災害の際、先遣隊6名が旧海山町入りしています。そのときのメンバーの一人が、学生代表まで務め上げ、今も協会職員として活動しています。災害時の学生の力といえば、IVUSAがすぐに思い浮かぶほど、マンパワーと組織力がある災害救援ボランティアでもあります。今でも、東紀州地域で豪雨や地震があると、当時のメンバーから連絡が入ります。
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長島衆議院議員


 開会式では、同連盟の会長である長島忠美衆議院議員(旧山古志村村長)より挨拶がありました。

 「被災者は、寂しい思いをする。その隙間を埋めるのボランティアの力は大きい。」が印象に残りました。会員の中には、災害救援ボランティアの経験者もおり、設立の発起人となった、福井県、新潟県の議員が役員多くを占めています。同連盟の事務局である細川かをり越前市議会議員も、平成16年に旧海山町入りしています。

 次第に沿って総会が進められ、収入の部では、165名のうちの会費納入が遅れており、収入の見込みが大幅に減額されていました。また、事務局の繁忙もあって、準備があまり進んでいない印象も受けました。情報発信と配信を想定し、発信ではブログを、配信では会報をとなっていますが、どちらも事務局一人が対応している印象なので、思うように進まない原因と考えられます。臨機応変が求められる災害救援ボランティアの出身者の集まりだけに、今後の改善と執行部からも反省の弁がありました。意見にもありましたが、「会員としてできることもあるので。」が一番の解決策の道だと感じました。とはいえ、昨年の10月に設立された連名であるので、性急に求めているわけでありません。

 総会が終わり、基調講演には、NHK解説副委員長の山崎登氏が登壇しました。
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NHK解説員の山崎氏


 NHKの山崎氏といえば、自然災害をはじめとするNHKきっての防災通であり、京都大学巨大地震災害研究センター非常勤講師の経験も持っています。また、4冊ほど著作もあって、現場主義とち密な取材による内容となっています。今日の講演では、「災害現場の取材で考えたこと」と題して、地震をテーマにした内容でした。阪神・淡路大震災から15年というメモリアルもあるので、「とはいっても、高校生以下はほとんど知らないか、覚えていない災害になっている。」が月日の流を物語っておりました。

 解説員だけに滑舌がよく、語尾も聞きやすい話し方なので、地震予知や被害想定の難しさを、多面的な切り込みで解明してくくだりの話は、迫力と説得力がありました。東海・東南海地震の話もありましたが、首都直下地震の切迫性は、「M7.0クラスの地震が数回発生する可能性」として、「今後30年間で70%の確率」とのことでした。首都直下型地震は、最近のTVでもドラマになっていますが、東京が地震に遭遇する危険性と、日本の機関や機能が集中する首都での被災は、国家の存続にも繋がるような被害想定でした。しかし、日本で起こる大半の災害は、都市以外の地域で起こっている現実もあるので、災害列島ともいわれる所以となっています。

 緊急地震速報の話もありましたが、阪神・淡路大震災を教訓に、地震の観測点が増設され、震災前の150か所から、4,200か所になっているそうです。また、当時の震災では、首相に一報が入ったのが2時間後となっており、危機管理の欠如が露呈した教訓から、危機管理システムの構築も進められています。さらに、災害時に正確な情報が必要なことや、建物の耐震化は一般家庭が最も進んでいない点など、身近な話題でイメージしやすかったです。

 この耐震化については、阪神・淡路大震災での死亡の92%が、住宅などの倒壊による圧死であったにもかかわらず、現在でも1129万戸が古い耐震基準であり、3.9%しか耐震補強をしていない現実です。また、防災拠点となる公共施設の65.8%(H21年3月)、病院の56.2%(H21年8月)、公立学校の67%(H21年4月)の耐震化率であるので、まだまだ進んでいない現状です。しかし、尾鷲市をみてみると、さらにそのほとんどで進んでいないので、財政との兼ね合いを考えながら、市長の英断を必要とする段階にきている気がしてなりません。

 被災と高齢化の話では、15年が経過した兵庫県の復興住宅には、現在も4万人が生活し、高齢化率が48.2%と、一般県営住宅の24.1%を大きく上回っている現実です。私の親戚も、被災した東灘区から、明石市に引越しを余儀なくされましたが、愛着のある地区を離れて暮らす住民が、孤独に死を迎えている問題も忘れてはなりません。また、新潟県中越地震では、66人の死者のうちの52名が、地震とは直接関係ない間接死であったことからも、「PTSDやエコノミークラス症候群など、避難所のあり方も問われている。」も印象に残りました。昨年の兵庫県佐用町では、ボランティア活動も始まっていた被災後に、先行きを不安視した被災者が、自らの命を立つという衝撃的なニュースもありました。

 午前中は、総会と講演で昼食交流会に入りました。会食しながら雑談に花が咲きましたが、NHK解説員の山崎氏と同席になり、「尾鷲の防災について」いくつかの質問も受けました。わたしのほうからは、「避難準備情報や、避難勧告が早く発表される。」、「防災講和を常日頃からやっている。」、「災害要援護者のリスト作成を、防災センターが主導してやっている。」、「民間主導で防災ボランティアコーディネーター養成講座を開催している。」などの特長をお話しさせていただきました。ちょっとのことですが、こうして自分のまちの防災力を知っていただくことは、ほかの自治体の実態も知ることができるので、まさに全国議連の利点でもあります。

 午後からは、事務局による研修会がありましたが、これだけはどうしても馴染めませんでした。研修会の主旨が、災害ボランティアセンターの運営や社会福祉協議会の参画、活動資金の実態など、議連の主旨と違っているのではと感じたところです。ワークショップ形式と言いながら、方向性のない議論を求められるので、「議連ゆえの議論を深めていただきたい。」との注文もつけたところです。確かに、提案された議論は、災害救援ボランティアや、防災ボランティアコーディネーターを目指す人には有意義な内容ですが、われわれ全国より集まった議員は、「今までの経験をどう自治体運営に活かしていくのか。」で方向性を見出すべきと考えるからです。

 たとえば、私の班の自治体の中には、「災害ボランティアセンターの設立を、行政主導で行い、運営を社協やNPOなどが担っていく」ことを明文化した条例の制定をしていたり、ほかの自治体では、マニュアルの中に、社協がボラセンが設立し、行政やNPOなどと連携して運営していくことが決められていたり、設立のプロセスが、自治体の防災計画に明文化されていながら、行政も社協も認知していない自治体があったりと、各自治体での取り組みや温度差が明らかになりました。尾鷲市では、社協がボラセンの設立を防災計画に明文化していますが、NPOとの連携などは課題となったままです。そのための足がかりとして、東紀州防災ボランティアコーディネーター養成講座の開催をやっているのです。

 そこで、議連としてできることが見えてくると感じるのですが、ある程度の統一見解を、自治体間で共有できるような仕組みづくりをやっておけば、まずは条例の制定に繋がるだろうし、全国区の取り組みを目指すのであれば、そのための国会議員の参画もある議連の強みを活かすことができるはずです。また、ボラセン運営の資金については、共同募金からの資金提供はもちろんのこと、自治体での緊急予算の決定や、広く募金によって集めることもできます。なので、ボランティアの視点での研修会であれば、今日の感じでも問題はありませんが、議連として議員が議論するには、ちょっとばかり的外れに感じたところです。

 しかし、班分けされたことで、各自治体の取り組みや実態調査をすることができ、尾鷲市での取り組みにも活かすことが見つかりました。もっとほかの自治体の取り組みなどにも期待しておりましたが、朝4時に尾鷲を出発して駆けつけただけの収穫がありました。設立されたばかりの議連なので、すぐにニーズにこたえるのは難しいでしょうが、議連として取り組んでいくことを見つけ、災害救援ボランティアの視点で自治体の仕組みづくりを変えていけるような方向性を指し示すことが目的ではないかなと感じるところです。

 もちろん、私にできることは、理事であろうと、企画者側であろうと、なんなりと協力します。しかし、災害救援ボランティアとしてや、災害ボラセンのイロハについては、三重県内だけでなく、広域連携なども含めて、民間主導で学んでいるところなので、あえてこの場ですることもなかろうと感じています。

 年末年始の繁忙期に準備を進めてきた事務局などには、耳の痛い内容になってしまいますが、せっかく集まった災害救援ボランティア経験者の才ある面々を、もっと利用しない手はないでしょう。このほか、班の中では、「避難情報の実態」や、「防災講和や避難訓練などの状況」も意見交換し、尾鷲市としての取り組みの進捗度の高さには、各自治体の議員も驚いておりました。これは、私にとっても予想以上の収穫だったので、自治体間の防災力を高めることへの議連の存在にも注目したところです。

 できれば、こういったことが意見交換でき、自治体間で共有できる取り組みを実施できるような議連に発展していけばと考えております。また、それこそが、この議連が必要視される肝だと感じるのですが。

 もう今日ですが、朝から内閣府のイベントに参加してきます。
by owase874 | 2010-01-23 23:41 | 防災とまちづくり


市民活動の延長線上に、市民目線の政治があると考えています。


by kumano874

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当ブログに来ていただきありがとうございます。私が政治に関心をもったのは、災害現場でボランティアとして活動しているときに、どうしても市民活動・NPO活動だけでは届かない声があると感じてからです。1995年の、阪神淡路大震災のときです。それ以降、政策提言できる市民活動を合言葉に、さまざまなことを実践しています(市民派向けのブログもあります。こちらCafe_CReAM モノ語り)。


これまでの思いが実現したのが、2006年11月から、2期6年半在職した尾鷲市議会議員でした。3期目の挑戦には苦杯しましたが、貴重な実体験をさせていただき、条例の制定を中心にした議会改革や、市民活動で培った政策提言を直接できる立場として、負託の重さを実感することができました。

また、尾鷲市議として負託をいただいてからは、この地域ではいち早く、議員活動をお知らせする手段の一つとして、このブログを活用しました。当時のことも含め、日々私が何を感じ、何を考えているかを綴る活動報告にもなっています。なお、2014年5月1日からは、三重県熊野市議会議員として、あらたな1歩を踏み出します。

ときには辛口の意見もありますが、東紀州における公益や市民益を考える一人の意見として読んでいただければ幸いです。

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