愛知県豊田市の「子ども条例」を政務調査する

 愛知県豊田市役所にお邪魔しました。

 この機会をつくっていただいたのは、東海若手市議会議員の定例会があったからですが、同会のメンバーで、豊田市議会の岡田耕一議員(http://www.ko1.org/)には、研修会のセッティングもしていただきました。
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豊田市役所内にて


 豊田市は、古くから幼保一元化の取り組みに着手しており、平成20年度からは、「こども園」としてスタートしています。また、ワンストップを実現する組織体制として、平成17年度の組織編制に伴い、「子ども部」を設置するなど、教育委員会の権限に属する事務の一部を、子ども部が補助執行することになっています。これは、保育園は福祉関係の担当課、幼稚園は教育委員会という縦割り行政の弊害を防ぐ取り組みとして注目されています。また、現政権与党の民主党も、幼保一元化はマニュフェストに取りざたされています。

 こども園については、平成22年4月当初において、市内の保育所認可65園(市立52、私立13)、幼稚園認可15(市立15)を「こども園」として再編しています。保育園児も幼稚園児も、同じ園に通うことになり、市内80箇所のどこの園でも、同じ料金体系とサービスを受けることができます。これは、事務処理をする行政側にとっては、縦割りの弊害で煩雑になる予想がされますが、子どもを抱える家庭にとっては、非常に解りやすい仕組みになります。また、子ども園の再編により、利用料も割安に設定したので、家庭にとってはダブルの喜びとなっています。さらに、担当課からの説明では、「豊田市は、昭和40年代から幼保一元化に取り組んできているので、それまでの園や保育課の事務量に変化はなく、逆にこども園の再編により、事務処理が簡素になった。」とのことでした。

 しかし、利用料の減額は、歳入が減額されることになり、逆に歳出として就園奨励費が増額する事態になったので、その間を埋める財源の確保が必要となったそうです。その正確な額は聞きそびれましたが、確か数億単位だったので、ここに豊田市の財政的な優位性を感じる場面でもありました。ただ、幼保一元化のメリットを考える上では、育児支援という市民の生活向上に繋がる取り組みなので、さらなるスリム化と改革に着手していくとのことでした。これは、ぜひとも尾鷲市においても本格的な検討を始めていい課題だと感じているので、「尾鷲市では何ができるのか?」を真剣に取り組んでいきたいと、会派の懇談会でも取り上げています。さらに、東海若手市議会議員の会においても、率先した取り組みをやっている自治体があるとのことなので、今まで以上に情報量が増えることに期待しています。

 豊田市子ども条例については、「簡単に言えば、今まで取り組んできた豊田市の子どもに関する施策について、中身を整理する意味を込めて条例化した」との説明でした。これは、条例をつくって中身を考えていくのではなく、中身が充実したからこそ、明文化してさらに取り組んでいくという姿勢に同感したところです。条例ができたので終わりではなく、条例化することにより次の課題を解決していくというわけです。ここに、豊田市の人口が約42万人、平均年齢が約40歳、65歳以上の高齢化率が約16%、はては一般会計予算が約1556億円と、尾鷲市とは比較にならない違いがあるのですが、「人口もお金もあるから、このようなことも考えられる」とは違います。財政的な優位性はありますが、自治体における子どもに対する期待や重要性を裏付ける取り組みは、尾鷲市のサイズにあった施策として考えることは可能です。
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豊田市子ども条例の構成


 このほかにも、子ども条例を制定したあとの取り組みとして、①子どもの権利学習プログラムの策定、②子どもに優しいまちづくり推進会議の設置(平成20年7月9日)、③子ども会議の設置(平成20年6月29日)、④子どもの権利侵害に対する救済と回復の支援の仕組みづくり(とよた子どもの相談室の開設、平成20年10月1日)と、条例に基づいての取り組みが説明されました。このなかで注目したのは、「昨今、子どもへの虐待(DV)やネグレクトが頻繁に取りざたされており、子ども条例の有効性を実証していきたい」との趣旨のことでした。確かに、メディアにとっても旬な話題になっていますが、報道がされるたびに、激しい憤りや他人が入り込めない強制力のなさを痛感します。そこへの解決策を訴えないメディアにも疑問を感じるのですが、それは議員や行政にも言えることなので、「その兆候はあった。しかし、対処していたが救いきれなかった」ことにならぬようにしなければと痛感しました。

 参加していた東海若手市議会議員の会のメンバーからも、予定時間をオーバーする意見や質問がでていましたので、このような席に自ら参加してくる議員の気概も感じたところです。これは、私にとっても非常に勉強になるだけでなく、広範囲に心強い仲間ができたと実感しております。今後は、尾鷲市にとってどのようにしていくべきかを、会派などと共有しながら進めていきたいと話し合ったところです。

◆参考サイト
・豊田市子ども条例
 http://www.city.toyota.aichi.jp/division/ak00/ak01/1194139_7170.html

・子ども・子育て新システム検討会議
 http://www8.cao.go.jp/shoushi/10motto/08kosodate/index.html
by owase874 | 2010-04-26 01:23 | 教育とまちづくり


市民活動の延長線上に、市民目線の政治があると考えています。


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当ブログに来ていただきありがとうございます。私が政治に関心をもったのは、災害現場でボランティアとして活動しているときに、どうしても市民活動・NPO活動だけでは届かない声があると感じてからです。1995年の、阪神淡路大震災のときです。それ以降、政策提言できる市民活動を合言葉に、さまざまなことを実践しています(市民派向けのブログもあります。こちらCafe_CReAM モノ語り)。


これまでの思いが実現したのが、2006年11月から、2期6年半在職した尾鷲市議会議員でした。3期目の挑戦には苦杯しましたが、貴重な実体験をさせていただき、条例の制定を中心にした議会改革や、市民活動で培った政策提言を直接できる立場として、負託の重さを実感することができました。

また、尾鷲市議として負託をいただいてからは、この地域ではいち早く、議員活動をお知らせする手段の一つとして、このブログを活用しました。当時のことも含め、日々私が何を感じ、何を考えているかを綴る活動報告にもなっています。なお、2014年5月1日からは、三重県熊野市議会議員として、あらたな1歩を踏み出します。

ときには辛口の意見もありますが、東紀州における公益や市民益を考える一人の意見として読んでいただければ幸いです。

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