未来に林業は残るだろうか?という話

 一般質問がはじまりました。

 私はしばらくやっていないので、聞くだけではもの足りなさがあります。しかし、昨日の田中議員の一般質問では、林業を考えていく上で、さまざまな思いが駆け巡りました。それにしても、市長との議論がかみ合っていない時間が延々と続いたので、市長自らが、もう少し早い時間に、担当課長の発言を促してくれればと感じたところです。
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尾鷲市の市有林


 田中議員の質問事項は、「市有林の主伐について」でした。平成24年度から、市有林の主伐が始まる計画ですが、低迷する林業事情を考慮したときに、主伐では採算が取れないという田中議員と、そうはならず主伐は必要であるとの市長の意見が対立しました。田中議員は、採算が取れない理由は、ひとりの林業家に事情を聞いてうえで発言していたそうですが、担当課の概算では、少なくとも利益は出るとの回答でした。この回答が、制限時間が残り数分でのことで、それまでは市長との押し問答だけだったので、「市長が概要を説明しないのであれば、担当課の意見を促してくれればいいのに」と思ったのです。

 主伐についての概算は、担当課がはじいているようなので、計画段階とはいえ明らかになっています。これは、後日の資料提供などでより詳しく明らかになりますが、私の関心は、「林業は未来に残る産業であるのか?」でした。確かに、木材の原価は低迷し、私が飛鳥町の原木市場でアルバイトをやっていた20数年前とは比較にならないほどです。あの頃は、「60年以上のスギは、破格値がつくやろのー」とか、「このヒノキは、柱材にしたらええ値になるのー」と記憶しています。しかし、昨年の広報委員会で、森林組合おわせを訪問したときは、「ヒノキは柱材にするよりは、板材にしたほうがまだ採算取れる」、「板材にするのはもったいないけどな」とも聞きました(おわせ市議会だより 第7号参照)。

 また、尾鷲ヒノキというブランドイメージや、FSC認証制度による商品価値は、どこまで世間一般に浸透しているのか定かではありません。答弁のなかの市長は、「私は値段が高くても、FSCの製品を買う」と言っていましたが、それがどの程度まで波及しているのかは数値化されていないはずです。また、「海山区で、FSCの建具で生計を立てている人を知っている」とも言っていましたが、それがどの程度のオファーやオーダーがあって、世間で何人が生計を立てられているのかもわかりません。質問のやり取りの上とはいえ、林業を語るにしては、少々世間話程度の感覚を受けました。

 2年後の主伐の是非を問うことは大事です。しかし、林業がどうあるべきかを考えていくことこそが、市有林を大量に所有している尾鷲市ならではの解決策として、日本の新しい林業を提言するきっかけになるのではと感じています。いままでの林業であれば、苗を植え、手入れをし、間伐をやり、その繰り返しののちで主伐をし、再び苗を植えるというサイクルは、正しい林業のはずでした。壮大な時間をかけて、自分が植えた苗を、孫の代で主伐するのが普通のことでした。しかし、木材価格の低迷や、外材への注目、木材自体への関心の薄れなどが、いまの林業を難しくしています。私としては、いままでの林業のやり方では、未来へつないではいけないのではと危惧しています。少なくとも、多くの林業家が衰退し、残った林業家さえも、昔のように財をなしている方がめずらしくなっています。

 私は飛鳥町の生まれで、林業主体の町で育ちました。といっても、当時でも兼業での林業が当たり前になっており、飛鳥町で有名な林業家は、数えるほどしか残っていませんでした。それでも、木材市場には活気があったように記憶しています。製材所も、数多く稼動していました。いまでも、熊野と尾鷲では、林業主体に違いがありますが、その当時から対策していれば、ここまでの低迷はなかったのかもしれません。かといって、何もせぬままにこうなったわけでもないでしょう。ただ、いままでの林業に囚われすぎていることも、考えとしてあるのかもと感じるのです。

 採算が取れないなら、市有林を荒れ放題にすればいいともいえません。そうすれば、水源地が荒れたり、河川への影響が顕著に出たりと、2次的な被害も予想できます。かといって、いままでのやり方では、林業を守ることにつながるとも考え難いです。付け焼刃のように、主伐によって臨時雇用が創出できるとか、低迷する木材の供給で、市場に活気を与えるといった夢物語も、絵に描いた餅で終わりそうです。それでは答えにならないと感じるので、新しい林業の可能性を、もっと議論する必要を感じます。私が知っている林業に携わる人たちのなかには、独自の発想と理想を、大きな可能性として見出そうとしている、あるいはすでに見出している人たちもいます。一同に集まって、意見を聞く場を持ちたいと考えているところですが、個々の話を聞いていると、林業は日本に見合った職業であり、この地域で可能性ある産業になるのではと考えたくなります。

 主伐については、今後の議論になりますが、販売ルートや流通ルートを確保した上で、市民に説明できる要素がなければ、狭い範囲の事業者を潤わすだけで、林業の根本を解決する施策ではないと感じます。数年前に、夢古道おわせの温浴施設を建設したときに、市有林の木材を使ったこともヒントになるはずです。市長が言うほどに、尾鷲市内で尾鷲ヒノキを感じることがないのも現状です。

 林業や市有林の主伐については、私の関心ごとのひとつであるので、また話題提供をさせていただきます。
by owase874 | 2010-12-07 00:49 | 産業振興を考える


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当ブログに来ていただきありがとうございます。私が政治に関心をもったのは、災害現場でボランティアとして活動しているときに、どうしても市民活動・NPO活動だけでは届かない声があると感じてからです。1995年の、阪神淡路大震災のときです。それ以降、政策提言できる市民活動を合言葉に、さまざまなことを実践しています(市民派向けのブログもあります。こちらCafe_CReAM モノ語り)。


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また、尾鷲市議として負託をいただいてからは、この地域ではいち早く、議員活動をお知らせする手段の一つとして、このブログを活用しました。当時のことも含め、日々私が何を感じ、何を考えているかを綴る活動報告にもなっています。なお、2014年5月1日からは、三重県熊野市議会議員として、あらたな1歩を踏み出します。

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