愛知のトリプル選挙について

 「大方の期待を裏切った結果ではないでしょうか?」

 敗戦した関係者の弁は、だいたいこのようなことに集約されています。さらに、「メディア戦略に敗れた」、「劇場型の手法に注目がいった」、「二元代表制の根幹を揺るがしかねない」などなど、もっともらしい弁にも着目しましたが、結局のところは、「民意を把握できていない」ことだと感じています。なので、大方の期待は民意ではなく、自分たちのご都合主義と捉えられた民意の総意です。

 地方議員である私にとっても、今回の名古屋の選挙については、「河村手法」には肩身が狭い思いをしていました。もっといえば、「議会軽視はいけすかないな」と感じたこともありました。劇場型といわれる手法は、大きく2つあって、ひとつは「議会への批判」だと感じます。名古屋の河村手法はこれですが、議会への批判で住民に伝わるのは、「高い給与もらって仕事もしないで」に変わっていきます。また、議員には数多の特権や手当てなどがあるように思われてしまうので、住民感情が発言者に集まるようになってしまいます。そして、矛先だけが議会や議員に向けられてしまいます。

 もうひとつは、阿久根市の前市長タイプですが、これには「議会と市職員(公務員)への批判」が展開されています。他には、大阪府の橋下知事や、兵庫県の川西市長も同じタイプではないでしょうか?議会だけでなく、公務員への批判が伴うタイプですが、これも住民感情には大きく響きます。しかし、阿久根市がそうであったように、地方自治体が公務員によって生計が立てられているような規模ですと、しっぺ返しを食らってしまいかねません。それは、尾鷲市にもあてはまる気がしないでもありませんが、公務員が最大規模の票田と考えると、そこから集められる1票は、職員の倍にも倍倍にもなってきます。阿前久根市長が僅差に近い票で敗戦したことからも、あながち間違っていない気がします。

 首長による議会批判については、最近の尾鷲市でもありましたが、議会への批判だけでなく、一部職員への冷遇が、市長交代にいたった一つの要因だとも感じています。しかし、あの一連の騒動によって、尾鷲市議会の議会改革も加速せざるを得なくなりましたが、新市長の誕生過程や、その後の市議会内での不協和音も含め、いびつな関係と違和感が拭いきれていないのが、率直な気持ちです。その要因で考えられるのが、首長と議会の対極でなく、首長と一部議員の集団とその他の議員を感じている自分がいます。しかし、与党議員はいても不思議ではありませんが、いまの国会がそうであるように、住民感情はそういった関係性ではなく、もっと単純なところでくすぶっています。

 といっても、名古屋市議会と河村市長のように、議会VS市長の構図になってしまうと、市民感情は議員が烏合の衆のように捉えられてしまいかねません。ここが、河村手法の妙であると感じていますが、民意をうまく先導できた点で、河村手法は今後の地方自体にも大きな影響を与えると考えています。名古屋市議会は、議員として真面目に仕事をやっていた人もいたでしょうが、議会制民主主義を守ろうとしたことが、議員特権を主張しているかのように見えてしまい、住民感情の逆鱗に触れたのだと感じています。ここは、私も学ばなくてはいけないところですが、地方自治法という法律で働いている議員にとっては、高い要求を求められているとも考えています。

 尾鷲市においても、「議会はいらない」と声をあげる人が増えてきましたが、首長がすべてを先導する自治体は、自治体ではなく独裁体になってしまいます。首長にイエスしか出さない議会や議員ばかりからなる構図も同じです。河村名古屋市長に違和感を感じるのは、「自分と意を同じにした議会をつくる」的な発言があるからですが、ほんとうの民意はそこにはないはずです。首長と議会が対局してこそ議論が生まれ、自治体運営のポテンシャルが揚がると考えているのですが、それには自治体の枠で生活してる大勢の有権者の意識改革も必要だと感じています。今回の選挙によって、名古屋や愛知県が本当に変わるとすれば、大勢の民意がその後に後押しをするかどうかです。

 これが実現されれば、住民自治にも繋がっていくはずです。

 あと、河村市長とタッグを組んだ大村愛知県知事ですが、民主党や自民党といった政党主義が崩れる決定打となるかも知れません。国会では、いまだに政党同士がなじり合いをやっていますが、民意は政党にあるのではなく、志しのある人に向かっている気がします。当選後の大村知事の発言にも、「国会では党議拘束があるが、議員も自らの志で動けばいい」的な発言がありました。これは大きなポイントであると感じましたが、今後の日本を先導していくのは、政党ではなく志しある者だと同感したところです。また、少数意見が意見として言える環境が保障されていることにも繋がります。

 やはり、今回の選挙で注目すべきことは、当選した2人にとっては、当然の民意だと感じたていたことが、敗戦した全ての候補者にとっては、「時代遅れの考え」であった敗戦の弁です。これらの敗戦の弁は、本当は間違ってはいないはずだけど、民意ではないというところにありました。市長選に出馬した石田候補の敗戦の弁に、「これからも、民主主義を守っていきます」とありましたが、首長候補者でありながら、議会を守ろうとしたような発言が、まさに時代遅れを象徴していたように感じました。私は、犬山市長のころの石田氏には興味を持っていましたが、その後の迷走ぶりで飽きがきてしまいました。もしかすると、こういうのが民意かも知れません。

◆知事選と市長選の結果
 http://www.nhk.or.jp/senkyo2/senkyo/index.html

 トリプル選挙の3つ目は、名古屋市議会の解散を問う住民投票でした。一転しての住民投票に、「(議会にとっては)出だしがまずいな」と感じていましたが、その通りの結果になりました。メディアの報道にも大きく影響されたでしょうが、予想以上の大差に結果に、名古屋市議会の元議員も、肝を冷やしたのではないでしょうか?これも民意の読み違いですが、これだけの大差であると、期間中の議員の言葉に耳を傾けた多くの住民は、その議員の言葉を信じていなかったことになります。これは、この次の選挙が惑ってしまうことになるかも知れません。ましてや、河村市長や大村知事が後押しする候補が出てくると、現職議員の行く末が気になります。橋下大阪知事などを巻き込んだ、劇場型の市議会議員選挙が予想されます。

 そこで感じてしまうのは、あそこまで河村市長と対立するのであれば、議会の先手で不信任案決議を出せなかったのかという点です。議会軽視で市長と対立しながら、議会としての正当な手段で、河村市長の暴走?を止めていたはずでしたが、これが大きな裏目になってしまいました。民意としては、まさに抵抗勢力ぐらいにしか受け止められなかったのですが、議会を主張するのであれば、打って出る選択もあったはずでした。市長による議会解散権の行使を恐れたのかはわかりませんが、先に河村市長が辞任に打って出たきたことで、さらに議会へのイメージが最悪になったと感じました。

◆名古屋市選挙管理委員会による結果
 http://senkyosokuhou-nagoya.jp/
 
 今回のトリプル選挙は、議員である私にとっても、民意について大切なことを学べたように感じています。やはり、民意は単純明快でしたし、そこに響く政治をすることが求められています。また、政党や支持母体主導の政治運営は、民意にとっては利益を生まないと感じられている気がします(それでも地方の選挙は母体を意識しますが)。

 志があるから、私も議員になったのですが、民意がついてこないとすれば、それは私の志が弱いのだと感じます。そういうことを考えながら、胸を張って議員活動をしていきます。
by owase874 | 2011-02-07 03:05 | コラム「温故知新」


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当ブログに来ていただきありがとうございます。私が政治に関心をもったのは、災害現場でボランティアとして活動しているときに、どうしても市民活動・NPO活動だけでは届かない声があると感じてからです。1995年の、阪神淡路大震災のときです。それ以降、政策提言できる市民活動を合言葉に、さまざまなことを実践しています(市民派向けのブログもあります。こちらCafe_CReAM モノ語り)。


これまでの思いが実現したのが、2006年11月から、2期6年半在職した尾鷲市議会議員でした。3期目の挑戦には苦杯しましたが、貴重な実体験をさせていただき、条例の制定を中心にした議会改革や、市民活動で培った政策提言を直接できる立場として、負託の重さを実感することができました。

また、尾鷲市議として負託をいただいてからは、この地域ではいち早く、議員活動をお知らせする手段の一つとして、このブログを活用しました。当時のことも含め、日々私が何を感じ、何を考えているかを綴る活動報告にもなっています。なお、2014年5月1日からは、三重県熊野市議会議員として、あらたな1歩を踏み出します。

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