地区や地域を二分する遺恨を残さないために

 尾鷲市老人クラブ連合会との懇談会に参加しました。

 懇談会のなかで、賀田の採石問題が取り上げられたので考察します。他の話題については、また報告します。

 賀田の採石問題を整理すると、大きく2つあります。ひとつは、新規参入予定の業者に対する問題で、もう一つは、既存の業者に対する問題です。長年の環境問題や健康被害については、既存業者に対する問題です。新規参入予定の業者については、既存業者の諸問題に頭を悩ませている賀田が、「これ以上、採石はいらない」という意思表示をしたことで、とばっちりを受けているともいえます。この意思表示とは、賀田が実施した96%の新規参入反対と、議会が全会一致で採択した参入反対の陳情書として、いまなお大きな効力を維持しています。

 しかし、新規参入予定の業者の許認可については、書類上の不手際などなければ、県知事は認めなければなりません。状況としては、許可を与えなければならないところまで来ているようです。それは、法律に基づいていることでもあるので、これをひっくり返すことは難しい現状です。しかし、県知事も言っているように、「既存業者の改善が優先されるべき」の言葉も、法的な拘束力はないにしても、大きな効力になっています。同じように、岩田市長にも、反対する意思を示しています。これは、新規参入予定の業者にとっては、まさにとばっちり的だと感じますが、既存業者においても改善に向けた動きをしているようです。

 ここまで来ると、あからさまに反対する意思はあっても、事情が許さないことになります。しかし、尾鷲市議会としては、もちろん私個人の議員としても、賀田の意思表示が継続しているのであれば、それを第一に尊重する姿勢に変わりはありません。いまはまだ、その意思表示がまとまっている状態だと認識しています。私だけでなく、所管する常任委員会においても、新規参入予定の業者と既存業者に対しては、執行部の対応も含めて、厳しい注文をつけています。

 ただし、今日の懇談会の席上で、「賀田では、モノが言えなくなっている」と指摘がありました。アンケートで96%もあった意思表示が、どうにも揺れ動いているというのです。確かに、絶対反対の立場の人にとっては、既存業者が改善しようが、新規参入予定の業者が対策を講じてこようが、何が何でも反対する気持ちも尊重されなければなりません。反対に、改善が徹底できるのであれば、全てを認めてあげてもいいのでは?と感じている人が出てきても不思議ではありません。これもまた、尊重しなければならない大事な意見です。

 そのなかで、賀田が二分するような事態が起こっているとのことですが、私にもその状況が伝わってきています。しかし、どちらの肩も持てないのが正直なところです。あくまで、賀田の総意がどこにあるのかが尊重されるべきで、議員が先導するわけにはいきません。とはいっても、私個人の考えのなかには、採石反対の立場に変わりはありません。これ以上、賀田や古川、賀田湾の環境を破壊すれば、二度と戻れなくなってしまう恐れがあるからです。また、既存業者による改善策が、どこまで本気度があるのかも、現状では伝わってきておりません。ちょっと強く雨が降れば、賀田湾が濁水で茶色くなるのを、日常のように見ていることもあるからです。

 しかし、この件については、尾鷲市民のなかにも賛否両論あります。先だって議会懇談会をおこなった尾鷲市自治連合会においても、市議会宛の要望などの伝達文書のなかに、「市長も議員も新規採石には反対していますが、・・・石山の仕事が始まれば・・・税収も上がると思います・・・賀田区の言う通りに動いているように見えます」などと、会長名の文書でプレッシャーをかけているのでは?と感じました。真意はわかりませんが、尾鷲市を代表する大きな組織からの意見には違いありません。当日の懇談会では、この件の話題は出てきませんでしたが、今後の行方には注視しています。

 賀田の採石問題については、賀田だけでなく、賀田湾を囲む三木浦や古江、曽根などの意見も尊重されるべきです。私の印象としては、賀田湾の濁水に関しては、改善を求める声で一致しているように感じています。その動きも、1枚岩として活動しているようにも聞いています。地域住民の意見を蔑ろにするわけにはいかないはずなので、既存業者も新規参入予定の業者も、目に見える行動を取ることには反対してないはずです。新規参入予定の業者には申しわけない気もしますが、既存業者の改善が最優先ということにもうなずけます。

 尾鷲市自治連合会からの指摘にもあるように、新規参入で潤う業者も出てくるでしょう。もちろん、雇用面や税収も上がります。しかし、もろ手をあげて歓迎できないのは、石山で苦しんできた賀田の住民がいるからで、これは許認可の有無とは関係なく、尾鷲市としての取り組みが注目されるべき問題です。もちろん、議会としてもできる部分はあるように感じています。

 今後の行方にも関心を持っていますが、賀田が二分されるような事態にはなってほしくありません。まずは、地域住民が本音で話し合い、どこに妥協点を見出せるかと感じています。そのなかで、議会や議員でできることは協力支援しますので、些細なことでも声をかけていただければと感じています。
by owase874 | 2011-02-10 21:51 |  


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by kumano874

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当ブログに来ていただきありがとうございます。私が政治に関心をもったのは、災害現場でボランティアとして活動しているときに、どうしても市民活動・NPO活動だけでは届かない声があると感じてからです。1995年の、阪神淡路大震災のときです。それ以降、政策提言できる市民活動を合言葉に、さまざまなことを実践しています(市民派向けのブログもあります。こちらCafe_CReAM モノ語り)。


これまでの思いが実現したのが、2006年11月から、2期6年半在職した尾鷲市議会議員でした。3期目の挑戦には苦杯しましたが、貴重な実体験をさせていただき、条例の制定を中心にした議会改革や、市民活動で培った政策提言を直接できる立場として、負託の重さを実感することができました。

また、尾鷲市議として負託をいただいてからは、この地域ではいち早く、議員活動をお知らせする手段の一つとして、このブログを活用しました。当時のことも含め、日々私が何を感じ、何を考えているかを綴る活動報告にもなっています。なお、2014年5月1日からは、三重県熊野市議会議員として、あらたな1歩を踏み出します。

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