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おわせ元気・満足度アップ事業について

 おわせ元気・満足度アップ事業は、岩田市長が率先する7つの新規事業になります。「魅力あるさかなのまちづくり」をテーマに、”さかな”で産業や教育等の総合的な政策を展開していくとしています。

 1.二枚貝養殖試験事業ですが、養殖技術の実証実験などは、ライバルとなる専門業者が、まさにそれで飯を食っていることから、特許がとれて売れるほどの先見性・先駆性がなければと思います。これまでも、尾鷲市として、いろいろな養殖実験をしていますが、それを引き継ぐ市内の業者がどれだけいるのかとも感じています。また、大半の事業に言えることですが、民間が率先してやっている事業があって、それを支援する形でこのような事業を組んでいるのであれば納得しますが、行政が主導するやり方はどうなのでしょうか。

◆農林水産業費 水産振興費
 旅費 3万2千円
 消耗品費 47万2千円
 手数料 12万6千円
 船舶借上料 45万円
 原材料費 23万5千円
 合計  131万5千円

 2.食の魅力づくり事業については、予算が241万円と、7つの事業のなかでも最大規模です。いまの段階では、どのように使われるのかは不明ですが、所信表明においても、「地魚や養殖真鯛の活用、姿寿司の開発等…中略…それらを軸にしたまちづくりの活性化につなげていきたいとかんがえております」と抽象的です。市長が掲げる「魚でまちづくり」の典型ですが、すでに事業者などが取り組んでいる”商売”との整合性や違いなどはもちろんですが、これが市が率先するまちづくりであっていいのかと考えてしまいます。また、これも私の持論にありますが、三重県の東紀州観光まちづくり公社においても、似たような事業を展開しており、その整合性や関連性にも疑問があります。

◆商工費 観光費
 詳細不明
 合計 241万円

 3.おわせみなと産地協議会強化支援事業においては、唯一関心がもてた事業です。今後の尾鷲の水産業を協議する「産地協議会」の設立を準備しているとあったので、尾鷲市として関与する規模の大きさに注目しています。しかし、この規模の視野がどこにあるかが重要ではないかと考えています。

◆農林水産業費 水産振興費
 補助金 20万円
 合計 20万円

 4.漁村集落再生モデル事業は、早田地区で行っている漁村集落のテコ入れです。昨年度も、さまざまな事業展開がされてきましたが、どこまで行政が関与し、それ以後はどのように接していくのかに注目しています。もちろん、それを引継ぎだけの余力が、高齢化率をみても早田地区だけにはないはずなので、尾鷲市全体で関与できるかだとも感じています。しかし、早田地区だけではなく、すべての漁村をターゲットにしなければ、ほかの地区の再生も容易ではありません。それは、漁村だけでなく、尾鷲市のまちなかでも、すでに再生できるかどうかの瀬戸際をきっているように感じてなりません。肝心なのは、その過程では、行政職員の関与では無理があるので、率先する市民がどう引き継いでいくのかだです。

◆農林水産業費 水産振興費
 補助金 84万円
 合計 84万円

 5.食育推進事業においても、輪内中学校の学校給食に地域食材を取り入れる効果はわかります。しかし、それを三重大学と連携する必要があるのかといえば、それで三重大学と密になれる2次的な部分があれば別ですが、150万円のうちの30万円を三重大学に委託して、120万円を消耗品費に使うのがどうなのかということです。地域食材の使い方は、地元に聞くのが一番だと考えるのはわたしだけでしょうか。

◆教育費 事務局費
 消耗品費 120万円
 委託料 30万円
 合計 150万円

 6.しろちどり体験事業は、県立水産高等学校の実習船による体験航海を、小学校5年生を対象に行うようです。ここで大事なのは、こういった事業は、その年だけで終わるようなことがあれば、そのときの5年生には影響を与えても、それ以後の5年生にはなんだったのかということになりかねません。しかし、このような体験的な事業においては、そのときの担任であったり、学校の予算であったりでかわることも多いので、尾鷲市としてやる以上は、教育上のビジョンが明確でなければと感じます。

◆教育費 教育振興費
 詳細不明
 合計 105万円

 7.市内水産関連事業は、県立水産高等学校の生徒を対象に、市内の水産関連会社において、企業訪問・体験学習を行う事業です。市内のどれだけの水産関連会社が、この高校の生徒を雇用として考えているのかなどわかりませんが、雇用のコーディネートを行政がやる事業のようです。”さかな”がテーマなので仕方がないですが、そのほかの事業所では実施されない事業でもあります。
 また、インターンのコーディネートで実績をあげているNPO法人が、県の事業で活動していますが、尾鷲市の事業所においても受け入れを行っています。どの事業所がこの指とまれをするかで選定していますが、県はこのNPO法人に業務委託をしているので、それはNPO法人の範ちゅうです。両者は似たような事業ですが、対象を限定している点で、尾鷲市は閉鎖的ともいえます。それがどう結果としてでるのかに着目します。

◆商工費 商工振興費
 委託料 10万円
 ほか不明
 合計 70万円

 私にとってこれらの事業は、単なる大風呂敷だと感じています。これらを”政策”とまで言っていいのかと感じるからですが、予算額で決まることはないにしても、総額801万5千円の事業にしては、「これで、尾鷲市民のどれだけが元気なり、満足するのか?」との疑問があるのです。目新しさがないばかりか、すでにいくつかの事業においては、民間主導で進められているものもあり、いまさら行政主導でやる必要性にも疑問が残ります。また、委託料なども多いと予測できるので、それが尾鷲市外への委託の場合、それで尾鷲が元気になるのかということも気になります。
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わかる範囲の内訳


 ”さかな”と”尾鷲のまち”を関連付けるのはよいとしても、寄せ集めた事業で魅力を演出するには無理があるのではないでしょうか。とくに、どの事業も継続的な事業ではないか、あるいは継続するには予算額の規模やビジョンの説明がなさ過ぎました。

 ”さかな”を尾鷲のシンボルにするために、真剣に1次産業の底上げをやるには、6次産業化に行政が関与するのではなく、尾鷲市のインフラ整備からだと感じています。
 ことあるごとに私も言っていますが、尾鷲市には下水処理施設がなく、全ての排水を河川や尾鷲湾に垂れ流ししているのが現実です。また、尾鷲市においては、合弁浄化槽の普及率も伸び悩んでおり、いわゆる”ぼっとん”の便所もあちこちで健在です。
 この設備投資には多額の資金を必要としますが、やらないのであれば、よほどの努力を市民がしない限り、尾鷲湾は汚れ続けます。北川河口や尾鷲湾の岸壁を見たとき、「水が澄んでいてきれい」と思う人は少ないはずです。行政として”さかな”に関わるということは、もっと高い視点から尾鷲市の現状をみなければと考えるのが私です。どうにも、ソフト事業でお茶を濁しているようで、ハードを避けている感じがしてなりません。それは、尾鷲漁協の施設をみても歴然です。

 1次産業の従事者は、年々の減少に歯止めがかからず、漁師の数自体も激減しています。”さかな”の原点である漁師が少なくなるなかで、そこにテコ入れして尾鷲市全体を再生させるのが、はたして政策なのかと考えます。
 岩田市長的にいえば、6次産業化で漁師から消費者までをテコ入れできると考えるのかもしれませんが、それでも尾鷲市民の満足度は、どれほどアップするものか疑問です。

 ここにチャンスがあるとすれば、尾鷲沖や近海で操業している船団を、尾鷲漁港にどれだけ入港させる魅力をつくるほうが先決だとも考えます。現在でも、尾鷲を通り越して、焼津や清水、沼津に魚を下ろす船があることも、魚市長ならば知っていることでしょう。高速道路も整備され、たとえば関西圏に鮮魚を下ろすのが、静岡よりも尾鷲のほうが迅速だと感じるのは、私だけではないはずです。
 また、そういったことに着目して整備をするのが行政で、カツオ=尾鷲、近海マグロ=尾鷲、ぶり=尾鷲といったイメージを定着させることができれば、あとは消費者が尾鷲を離しません。ここに、行政主導があって然りです。

 これら7つの事業予算については、予算決算常任委員会に付託されて審査します。しかし、担当課をまたいだ事業であるので、一つひとつの事業は、大きく3つの担当課で説明されます。岩田市長が太鼓判を押している事業であるので、一括で審査できればよいのですが、担当課ごとになるので残念です。それでも、重要としている施策であるので、細かい予算のことでも議論しなければと考えています。
by owase874 | 2011-03-06 00:21 | コラム「温故知新」


市民活動の延長線上に、市民目線の政治があると考えています。


by kumano874

ご挨拶とブログの概要

当ブログに来ていただきありがとうございます。私が政治に関心をもったのは、災害現場でボランティアとして活動しているときに、どうしても市民活動・NPO活動だけでは届かない声があると感じてからです。1995年の、阪神淡路大震災のときです。それ以降、政策提言できる市民活動を合言葉に、さまざまなことを実践しています(市民派向けのブログもあります。こちらCafe_CReAM モノ語り)。


これまでの思いが実現したのが、2006年11月から、2期6年半在職した尾鷲市議会議員でした。3期目の挑戦には苦杯しましたが、貴重な実体験をさせていただき、条例の制定を中心にした議会改革や、市民活動で培った政策提言を直接できる立場として、負託の重さを実感することができました。

また、尾鷲市議として負託をいただいてからは、この地域ではいち早く、議員活動をお知らせする手段の一つとして、このブログを活用しました。当時のことも含め、日々私が何を感じ、何を考えているかを綴る活動報告にもなっています。なお、2014年5月1日からは、三重県熊野市議会議員として、あらたな1歩を踏み出します。

ときには辛口の意見もありますが、東紀州における公益や市民益を考える一人の意見として読んでいただければ幸いです。

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