教育委員会の限界

 教育委員会の動向が注視される報道が目立ちます。いじめ問題に絡んで、対応が後手後手に回った大津市教育委員会、教師の体罰による生徒の自殺で、入試中止まで採決した大阪市教育委員会…ここ最近でも、教育委員会の対応を巡って、真に問わなければならない課題が蔑ろにされてはいないかと感じます。そう遠くない過去には、尾鷲市教育委員会においても、似たり寄ったりの対応に世間が一喜一憂しました。

 基本的なことですが、教育委員会の委員は、自治体の長が選び、議会の承認を経て決定されます。その後、教育委員会委員の互選によって、教育長や教育委員長が決定されます。このうち、教育長は事務方の長として活動し、教育委員長は教育委員会委員のトップとして、教育委員会を取り仕切ることになります。権限上は、教育委員長が上ですが、教育長の方が給料ははるかに多いです。お金の違いは、教育長の場合は、毎日出勤しますが、教育委員長はその都度の出席になります。また、議会の定例会など、議場には双方の長が出席することになりますが、委員会などの場合は、事務方として教育長が出席することになっています。もちろん、議会や委員会から招聘されたときは、教育委員長も出席することになっています。

 最近の尾鷲市教育委員会で言うと、教育委員会委員の選任が委員会付託になることがありました。これは議会運営上正規なやりかたですが、人事案件が委員会付託を省略して採決されることが慣例となっています。少なくとも、尾鷲市の場合もそうでしたが、のちの互選で教育長になる教育委員会委員の人事案件が、2人続けて委員会付託されたのは、珍しいことでした。私においては、その2人ともに、採決では反対の意志を表明しています。それぞれに私なりの理由がありますが、ここでは省いて話を進めるとします(1人目の反対については、過去のブログに記述しています)。

 こうして選出された教育委員会委員は、行政職員と教育現場からの先生からなる教育委員会事務局の取りまとめで、月に一度、教育委員会に出席します。ここでは、教育委員長が会議を進め、事務方である教育長らの報告を聞きながら、学校と教育について議論を進めます。このほかに、臨時的な開催もあります。会議への参加はできませんが、希望すれば傍聴もできます。これも、内容によっては非公開となることもあります。

 一方、議会とは一線を画しており、通常業務に議会や議員が口をはすむことはありません。教育の独立性を担保させるため、政治不介入が根拠となっています。私においても、教育全般には大いに興味関心を持ちつつも、学校現場や教育の根本についてまでは、教育委員会の裁量だと割り切っています。と同時に、学校現場も教育委員会も、本来は政治不介入で進めてもらいたいとの願いはあります。憶測では書きませんが、これらの点においては、尾鷲市においても不透明と言いたくなる場面や聞き及ぶことがあります。

 では、教育委員会の限界についてですが、まずは予算面での限界を感じます。教育委員会の予算は、学校現場の充実には不可欠なものです。細かく言えば、コピー用紙や理科の実験器具なんかも、市の予算に計上されて議会が承認します。これらの元となる予算は、まずは教育委員会で議論されますが、自治体の長が集めた教育委員会だからといって、予算が潤沢に学校現場に行き渡ることはありません。議会に予算として出てくるまでに、予算を管理する財務で絞り込みがされます。この絞り具合について、議会や議員が指摘することはあります。その大半は増額についてですが、それは学校現場との懇談などで、学校長から強く予算確保を進言されることもあるからです。教育委員会が独立した機関であると言いながら、予算面できっちりと外部管理されている現状では、教育委員会で示される学校教育の事業計画が、予算の関係で縮小することにも繋がってしまいます。これは、議会や議員がどう指摘をしても、市長に反対される矛盾が生じてしまいます。

 もう一つの限界は、教育委員会の仕組みそのものです。今回の大津市や大阪市の事件だけでは、教育委員会の権限が有りそうに見えて、実は自治体の長に左右されている点です。予算面では絞り込みを余儀なくされ、学校現場の権限では自治体の長や事務方に押さえられる。こうした矛盾が、結果として学校現場や子どもたちにしわ寄せとなっています。過去には、犬山市の教育委員会のように、独立性を担保させるための攻防がありましたが、子どもの将来や未来を見据えて、政治と闘う教育委員会では無くなっています。そこに、自治体の長や議員との癒着構造や、学校現場と教育委員会との乖離があげられる気がします。

 乖離の点で言えば、教育委員会委員の選任は、自治体の長がするのであって、学校現場の意見が反映されていない点があります。水面下ではあるでしょうが、あまり教育に詳しくない、それほど研鑽を積まない委員が選任されれば、実は大きな打撃となるのです。さらにその点で言えば、議員も同様ですが、教育委員会委員の身分保障の低さもあげられるでしょう。これでは、モチベーションだけでなく、責任意識の度合いも低くなって当然です。月に一度や二度の集まりで、自治体の教育すべてを考えることなど不可能です。多くは、事務方で進められる現状で、ときに教育長と教育委員長が不仲になったりする話は、権利意識や教育の蔑ろから生じてしまうと予測できます。やはり、何をやっても、子どもたちには不利益極まりないです。

 そこで、教育委員会の改革がでてくるのですが、この点にも長い歴史を見ることができます。独立した機関を担保させる仕組みづくりが根本ですが、そういった部分にメスを入れる自治体の長はなかなか現れてきません。学校現場にどれだけの予算を投じれば、自治体の教育が劇的変化をとげるかどうかは、調査も検討もしていません。国や県の制度になぞらえてやっているだけで、自治体独自、尾鷲市独自の教育ビジョンは無いに等しいのではと感じます。大げさかもしれませんが、こういった教育の体系化、地域教育の実践が付け焼刃のようになってることが、将来的に子どもが地域に残らない、少子化を加速させているのではと感じることも多々あります。

 子どもといえど人間なので、それぞれ性格も知識の幅も違います。それを大人がどう方向を指し示してあげられるかが教育のあり方です。政治不介入の理念であっても、政治をやらなければならないこともでてきます。教育委員会は、その関所であり、拠り所であり、ハブであるべきです。制度自体の見直しは、上からではなく、地方からだと強く感じます。それが、政治をやらなければならない部分で、私たちにも大きな責任があります。しかし、最終的には自治体の長に権限と決断があるのです。

 教育委員会の限界が、教育の限界であってはならないのです。
by owase874 | 2013-01-22 14:38 | 教育とまちづくり


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当ブログに来ていただきありがとうございます。私が政治に関心をもったのは、災害現場でボランティアとして活動しているときに、どうしても市民活動・NPO活動だけでは届かない声があると感じてからです。1995年の、阪神淡路大震災のときです。それ以降、政策提言できる市民活動を合言葉に、さまざまなことを実践しています(市民派向けのブログもあります。こちらCafe_CReAM モノ語り)。


これまでの思いが実現したのが、2006年11月から、2期6年半在職した尾鷲市議会議員でした。3期目の挑戦には苦杯しましたが、貴重な実体験をさせていただき、条例の制定を中心にした議会改革や、市民活動で培った政策提言を直接できる立場として、負託の重さを実感することができました。

また、尾鷲市議として負託をいただいてからは、この地域ではいち早く、議員活動をお知らせする手段の一つとして、このブログを活用しました。当時のことも含め、日々私が何を感じ、何を考えているかを綴る活動報告にもなっています。なお、2014年5月1日からは、三重県熊野市議会議員として、あらたな1歩を踏み出します。

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