エリアワンセグでの行政放送について

 総務産業常任委員会の審査内容とは違いますが、事業説明を受けたなかで、私が気になったことは、防災危機管理室の新規事業である、エリアワンセグの整備です。多額の整備費などで、一般質問でも話題に上がっていました。

 エリアワンセグは、平成22年に、総務省がホワイトスペース特区を置いて、全国25箇所で実証実験を行なっています。その後の発展形も含め、災害時に有効な情報伝達手段として、東日本大震災後は、石巻での実証試験や、南相馬市での正式放送開始など、今後も地方自治体で整備がされていくであろう新技術になります。また、民間利用も進んでおり、羽田空港では、独自の技術ですでに実用化が始まっています。また、各携帯電話会社も、試験放送や実証試験を行なっている段階で、早いうちにサービスが開始される見込みです。

■総務省|「ホワイトスペース特区」の決定
 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban09_01000025.html

 そもそもエリアワンセグとは、携帯電話やスマホなどで見られるTV放送を、地域限定で情報発信・受信できるサービスのことです。小さな単位での情報伝達が可能となるので、コミュニティFMのTV放送版とでもいったところです。つまりは、音声と映像が、身近な端末で受信できるサービスです。尾鷲市では、これを防災無線の進化形として整備し、一家に一台、一人に1台くらいの勢いで、今後も整備をしていこうと考えています(ちょっと大げさな表現ですが…)。確かに、聞きづらい現状の広域放送や、設置した部屋でいないとわからない戸別受信機よりは、エリアワンセグが秘める可能性は大きいと想像できます。

 しかし、デメリットもあって、私はここに注目しています。

 現状の説明では、あたかも戸別受信機に変わる救世主のような言い回しを市長はしていますが、ワンセグ技術の応用であるので、画面は小さいほどよく見えますが、7インチ以上では見づらくなってしまいます。いまのデジタル放送は、フルセグと言われる技術ですので、50インチでも100インチでも、綺麗な映像が見られますが、ワンセグは限定的な技術ですので、家のTVで見ることはできません。なので、将来的には、別途受信端末を購入するか、尾鷲市が負担して全世帯に配布するかになるのです。もちろん、携帯電話をはじめ、ワンセグが受信できる端末を持っていれば、チャンネルの切り替えで放送を見ることもできます。しかし、そのチャンネルに合わせないと見られないので、尾鷲市では、独自の専用端末も試作しているとのことです。

 次に、バッテリーの問題です。皆さんも経験あるでしょうが、携帯電話でTV放送を見ると、すぐにバッテリーが消耗してしまいますね。市の説明では、受信端末を持って避難すれば、高台にいながらでも、その後の情報は滞りなく受信できるとありましたが、はたしてバッテリーのことを考えているのかと感じました。現状のバッテリー技術を考えると、私には疑問があります。この点について、東日本大震災で参考になる記事があるので、紹介しておきます。

■【震災、そのとき情報通信は(1)】想定外の72時間、停電で携帯電話は使えなくなった
 http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110513/191754/

■【震災、そのとき情報通信は(2)】ワンセグは電池切れで使えず、ラジオも途切れた
 http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110522/191991/

■通信インフラの壊滅した避難所にインターネットを
 http://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/20110311/20110530_449305.html

 ただし、エリアワンセグについては、可能性と手段で考えると、尾鷲市の目指している取り組みは有益です。市の説明にも、一定量の納得はできていますが、デメリットもきちんと提示した上で、今後の整備については考えるべきだと感じます。ゆえに、バッテリーの課題は、意外にも大きいと思いますし、専用端末の整備にも、大きな課題が残ります。

 一方、エリアワンセグで、尾鷲市が先進的であるという部分は、4.9GHz帯の無線LANを使用している点です(この周波数帯については、以前のブログに記載しています)。エリアワンセグの電波を、この周波数帯に変調し、無線LANで放送を受信する仕組みを採用しています。この技術を自治体規模で採用しているのは、恐らく尾鷲市だけだと思いますが、それだけ新技術への課題もあるでしょう。そこまでしてやるという気概も理解できるし、多額の資金投入をしてまで、いま絶対に必要かとの問いにもうなずけます。市の説明では、国からの金銭的な支援もあるとのことですが、それでも相応分の負担は必要ですし、本当に有事の際に、張り巡らせた送信網が、きちんと機能するかの保証はどこにもありません。

 私としては、整備への理解をしつつも、新技術へのリスクは大きいのではないか?自治体規模でやるには、ちょっとした博打になるのではないか?などと、及び腰にもなってしまいます。また、これも仕方がないとは感じていますが、市民目線で考えると、これら全ての事業が、特定の事業者でしか取り扱えないとなることにも懸念はあります。つまりは、何をするにも、入札ではなく随契になってしまう点です。尾鷲市は、新技術や特定技術の採用が目立ち、その後に困ることが発生し、議論が紛糾する土壌があるからです。この負の連鎖を、どこかで区切りをつけなければ、大きなツケが市民に回ることになってしまいます。

 詳しくは、予算を審査する予算決算常任委員会で、再び取り上げたいと考えています。

※追記
 予算決算常任委員会での審査で、この事業における機器などの購入については、入札方式であることが報告されました。事業の整備自体も、汎用性ある機器を使うとのことで、入札になるとのことでした。少し憶測で意見を述べてしまいましたが、入札ならば単価が下がる可能性が高いので、今後の整備にも弾みが付きそうです。
by owase874 | 2013-03-09 01:01 | 防災とまちづくり


市民活動の延長線上に、市民目線の政治があると考えています。


by kumano874

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当ブログに来ていただきありがとうございます。私が政治に関心をもったのは、災害現場でボランティアとして活動しているときに、どうしても市民活動・NPO活動だけでは届かない声があると感じてからです。1995年の、阪神淡路大震災のときです。それ以降、政策提言できる市民活動を合言葉に、さまざまなことを実践しています(市民派向けのブログもあります。こちらCafe_CReAM モノ語り)。


これまでの思いが実現したのが、2006年11月から、2期6年半在職した尾鷲市議会議員でした。3期目の挑戦には苦杯しましたが、貴重な実体験をさせていただき、条例の制定を中心にした議会改革や、市民活動で培った政策提言を直接できる立場として、負託の重さを実感することができました。

また、尾鷲市議として負託をいただいてからは、この地域ではいち早く、議員活動をお知らせする手段の一つとして、このブログを活用しました。当時のことも含め、日々私が何を感じ、何を考えているかを綴る活動報告にもなっています。なお、2014年5月1日からは、三重県熊野市議会議員として、あらたな1歩を踏み出します。

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