熱海市の現状は、対岸の火事ではない

※今日のブログは、焼津市の宿より更新しています。

 管外行政視察で、熱海市と焼津市に来ています。

 昨日より、熱海市で宿を取り、全国的に有名な「熱海温泉」という観光地の夜をぶらりとしました。今日は朝から熱海市役所の議会事務局を訪れて、行財政改革と観光戦略について聞き取り調査をしました。
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熱海市役所玄関


 まず、議会事務局の杉坂事務局長より市の概要説明を受けましたが、このあとの担当職員を含めて、視察に来た我々尾鷲市の概要も調べており、市政の説明も簡潔で丁寧でした。また、「観光」に力を入れているせいか、受付職員をはじめ、往来する市職員の対応も丁寧なのに感心しました。
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このような制度があるのも興味深い


 議会事務局の説明で驚いたのは、定例会や委員会の開催前に、上程する議案の事前説明を行っているとのことで、それを一人会派をはじめとする全会派、つまり全議員に個別に行っていることでした(この説明は非公開だそうです)。執行部としては、面倒なことでしょうが、議員にとっては事前の説明と資料の配布は、とても有意義なことです。昭和30年代からの慣習とのことですが、このため、本会議での質疑応答は極端に少ないとのことでした。

 次に、行政経営課の森本課長の説明では、昭和59年の行政改革大綱を皮切りに、平成7年の第2次、平成14年の第3次と、行財政改革を実施してきました。しかし、平成18年の9月に、大接戦の上、前市長の4期目を阻止した斎藤現市長に交代すると、同年12月の「財政危機宣言」、平成19年1月の「財政再建スタート宣言」と、矢継ぎ早に行財政改革の取り組みを行っていることのことでした。また、市長給与の30%カット(副市長20%、教育長10%)、市長と副市長の退職金廃止など、率先した取り組みもしています。

 財政の見直しでは、19もの投資的事業を凍結・延期・縮小させ、そのなかには、幼小中の耐震化事業も含まれているのには驚きました。これには、PTAなどからの陳情や要望が出る事態となり、市議会議員からの一般質問でも取り上げられたと聞きましたが、公債費の抑制を図るために、今はどうしても了承してほしいとのことでした。財政健全化を考えた場合、耐震化の事業を行うだけの執行する予算が捻出できないからで、市長の英断が予想できました。

 しかし、水道事業会計の不良債務による27年ぶりの料金改定(平成19年)や、140億円もの企業債残高(平成17年度末)を抱える下水道事業会計など、山積する財政問題を抱える現状は、対岸の火事ではないことを真摯に受け止めました。
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下水のマンホール


 下水道などは、都市基盤には欠かせないインフラなのに、整備しても赤字になるような事態は、どの地域でも考えられ、実際に起こっている課題なので、歯がゆい気がしました。尾鷲には下水道はありませんが、海に垂れ流している現状を考えると、海業を売り出すためにも、ぜひとも整備したいと考えるので、なんとも言えない気持ちになります。

 この他、病院事業は独立しており、平成14・15年に約30億円を拠出して、大学病院を誘致したとのことで(国際医療福祉大学が運営)、これは尾鷲市の総合病院と比較しても、英断した甲斐があったとのことでした。また、医療機関については、民間病院も多いとのことで、35%を超える高齢化率による医療問題に対処はできているとのことでしたが、後期高齢者医療などの根本的な問題は、尾鷲市と同様でした。

 また、観光戦略室の石渡室長の説明に入ると、観光で売り出している熱海市だけに、年間の宿泊人口を約280万人も抱えていながら、滞在時間の延長やまちなかの魅力の再発見など、温泉と別荘地だけでないまちの可能性を見出すために、さまざまな取り組みと計画をしていることが伺えました。
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なんでもない風景も…


 その点では、実際にまち歩きをした私の感想からは、団体での旅行には向いている面もみられますが、少人数や単独での楽しみ方が少なく感じました。モーニングサービスや23時までのカフェなど、1杯のコーヒーから始まるまちの魅力は、そこに住んでいる人たちの気持ち次第でなんとでもなるので、尾鷲で私がやっている市民としての取り組みも、魅力づくりとして意義があるだろうと感じました。
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21時半のメイン通り


 大口の観光客と、単独の観光客との旅に対する意識の差は大きいのですが、楽しみ方は雑多にあったほうがよいので、温泉・海・山・坂・食べ物など、熱海にあるキーワードを並べていけば、何がお客に受け入れられるのかが見えてくるのかもしれません。昔のような観光客では立ち行かない現実を、熱海市のような観光地こそが打破していくことは、今までのような「観光」を変えていくきっかけになるのではないでしょうか?
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起雲閣(きうんかく)


 午後からは、大正8年(1919年)に築かれたモダニズムな建築様式の名邸を訪問しました。競売に出されたのを、12億円以上の巨費を投じて、当時の市が買い取り、整備したのちに一般開放した邸宅です。ボランティアガイドの説明も丁寧で、巨万の富によって築かれ贅の限りをつくしたことが伺えました。
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庭園もすごい


 これもまた、赤字の運営に近いでしょうが、こうした歴史的な建造物を後世に遺していき、地域の宝として受け継いでいくとも、文化や伝統の継承につながることなので、息の長い支援と独立に向けた努力とアイディアが必要不可欠です。

 熱海市の行財政改革は、平成19年度から平成23年までの5カ年計画で進められていますが、40代の斎藤市長の手腕だけでなく、市職員や市議会、熱海市民の協力を得ながら健全化に向かうことを期待するとともに、観光戦略で魅力を再発見していくことで、2つの課題の両輪がかみ合うようなまちづくりに、今後も注目していくことになりそうです。

※このあと、移動して焼津市に入りました。
by owase874 | 2008-05-15 21:28 | 観光とまちづくり


市民活動の延長線上に、市民目線の政治があると考えています。


by kumano874

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当ブログに来ていただきありがとうございます。私が政治に関心をもったのは、災害現場でボランティアとして活動しているときに、どうしても市民活動・NPO活動だけでは届かない声があると感じてからです。1995年の、阪神淡路大震災のときです。それ以降、政策提言できる市民活動を合言葉に、さまざまなことを実践しています(市民派向けのブログもあります。こちらCafe_CReAM モノ語り)。


これまでの思いが実現したのが、2006年11月から、2期6年半在職した尾鷲市議会議員でした。3期目の挑戦には苦杯しましたが、貴重な実体験をさせていただき、条例の制定を中心にした議会改革や、市民活動で培った政策提言を直接できる立場として、負託の重さを実感することができました。

また、尾鷲市議として負託をいただいてからは、この地域ではいち早く、議員活動をお知らせする手段の一つとして、このブログを活用しました。当時のことも含め、日々私が何を感じ、何を考えているかを綴る活動報告にもなっています。なお、2014年5月1日からは、三重県熊野市議会議員として、あらたな1歩を踏み出します。

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