教育委員会の審査

 全体予算の9%を占める第9款教育費は、昨年度の予算と比較すると、7477万円ほど減額された、6億9512万6千円になります。他の課と比べても、教育費の落ち込みが激しいので、気になっていた審査になりました。

 地方自治体で力を入れるべき施策のひとつに、学校(幼稚園、保育園も含んで)教育があります。家庭での教育が一番とすれば、学校での教育は、広く世間と愛郷心・連帯感を学ぶ機会を与えてくれます。その中で、個性や主張ができる人間へと成長していくには、地域での教育(これは私は地育と呼びますが)も必要で、まさに教育とは、その自治体の力量が試される一番市民に近い現場だとも考えられます。

 その審査全般で感じたことは、「教育委員、教育委員会事務局、教育長、市長のそれぞれが、尾鷲の教育について統一した意見ではないのでは?」でした。それぞれの立場での説明は、これまでも幾度となく聞いてきたつもりですが、一つを見れば評価できることも、それぞれの意見に食い違いがあったり、思い込みの違いがあったりと、必ずしも統一した見解で無いことが気になっていました。とくに、教育長の発言と、市長との発言には温度差があって、いつも教育長がフォローしているように見受けられるのです。また、教育委員がいつも置き去りにされている感覚もうけるので、「教育委員との定例会が施策に反映されているのか?」と感じます。

 まず、教育委員会は、教育総務課と生涯学習課の2つに大別され、教育総務課が教育の基本と考えれば、生涯学習課はその応用と考えることができます。その基本である財源が大幅にカットされ、とくに学校への締め付けが厳しい内容となっていました。また、国などに対する補助金や助成金に頼らないからか、補助メニューが少ないのも特徴です。

 第2項教育総務費、第2目事務局費のうち、特別支援教育支援員配置事業費873万5千円についてですが、これは管内の小中学校における障がい児学級に加配する支援員の賃金になります。これに関しては、保健福祉課の審査でも意見をしましたが、障がい者を支援する体制は、自治体の施策として反映されるべきものであるので、支援員の加配は理解できます。
 その際に、意見したことは、「縦横無尽の支援体制」であり、縦割りにならないような体制と、地域で活動する支援団体や思いのある個人など、横の繋がりも交えながらの体制づくりです。あすなろ学園に支援を請いながら、「チーム尾鷲(仮称組織)」の編成も進んでいるとのことなので、ぜひとも行政だけで解決しない支援体制の強化をお願いしたところです。
 しかしながら、障がい児の普通学級への進学希望も増えていくことが予想され、くろしお学園との連携強化も必須課題など、障がい児を支援していく体制づくりは、学校現場への負担増も現実として生じます。それをどう支援していくかを考えるには、すぐにできることと、継続して粘り強くやっていくことの精査も必要です。

 また、第2目事務局費のうち、ALT事業843万6千円について説明も求め、提案的に意見しました。
 今年の8月以降、ALTを2名体制にすることが盛り込まれていますが、学校現場での英語教育の必要性は理解しています。しかし、外部委託によるALTの確保ではなく、尾鷲市に住んでいる外国人、または英語ができる日本人による現場参加の可能性を考えているからです。これは、この地域で雇用を生むきっかけを作るばかりではなく、尾鷲市に住む外国人への理解にも繋がります。尾鷲市に登録している外国人は、100名を超えているので、このうち英語が母国語であったり共用語であったりする外国人も多いはずです。実際には、英語塾などで講師をしている外国人もいます。日本人の中にも、留学経験や滞在経験がある人もおります。これらは全て尾鷲市に住んでいる市民であり、ホームシックになることも、一部の人たちとの交流だけで滞在期間を終えることもありません。
 このような人たちが、常日頃から学校現場に出入りするようになれば、ALT事業費で2名以上の雇用も可能となるはずです。ALT事業は、学校現場に英語を持ち込むことですが、英語で繋がる地域に住む人たちとの交流のほうがより自然ではないでしょうか?
 しかしながら、前例が無いことや授業としての英語経験に欠けるだろうなどの理由で、「その能力を持った人がどのくらい尾鷲市に住んでいるのか?」などの調査もすることなく、またそういう想定から尾鷲市への効果を考えることも無いようでした。

 第5項社会教育費のうち、第4目図書館費2678万9千円についてでは、図書館の運営費438万2千円に対して、人件費が2240万7千円も計上されているので、運営費のうち本代に充てられる費用が268万円であることからも、この人件費分を精査しないのかと意見しました。 
 これに対しては、直営事業が望ましいとされたが、人件費を抑えるために、配置人数や階級の調整などする予定との返答を頂きました。どのくらいの減額になるのかはわからないので、はっきりとしたことは言えませんが、この段階で精査できていない理由を聞き逃してしまいました。いずれにしよ、図書館司書を持っている館長は必要だとしても、尾鷲には読書ボランティアもあることから、さらなる連携の必要性を感じました。

 第6目文化財保護費631万5千円では、このうち文化財保護費212万1千円について質問しました。理由は、市内には、築100年を超える建造物が少ない傾向にあります。そこで、これらを景観保護の観点からも、調査しているのかどうかや、文化財指定などで保護するような検討はあるのかどうかなどを知るためでした。結果としては、何も予定や検討は無いようですが、このまち全体を見渡すと、古い建物が無造作に壊されていく現実があります。もちろん、個人所有が大半なので、意見できる立場にはありませんが、このまちの何を売りにするのか?何に、人は惹かれるのか?を考えたとき、私にとって尾鷲の路地や古い建物は、尾鷲らしさと昭和の生活をノスタルジーとして感じます。
 景観保護条例の制定を想定していることもあるのですが、熊野古道が世界遺産登録されて5年が経過しようとし、峠と峠をつなぐまちの雰囲気にも、訪れる人には魅力として残ります。それは、私たち住む人にとっても同じであると考えるので、調査や検討に値する文化的価値があるように考えています。

 第9目文化会館費5150万円では、債務負担行為で指定管理している期間中であることを考慮しながら、関連する質問をしました。それは、近々上映される無料映画のことで、「なぜ無料にするのか?」という単純な質問でした。これは、指定管理をしている尾鷲文化振興会による自主事業で、事業費の余剰分を市民に還元する目的との説明でした。しかし、余った事業費の消化とも受け取れるので、一方では財政難と言いながら、たとえ通常の半額でも徴収するような配慮がなかったのかということです。これでは、今後の無料に期待して、有料上映の来場者が減ることも予測されます。
 この文化会館の指定管理では、管理規則による弊害もあるように感じるので、尾鷲の身の丈にあった管理運営を模索していく必要性を感じました。これは、債務負担行為が終わる時期に合わせて、要検討課題だと考えています。

 第6項保健体育費のうち、第1目保健体育総務費1464万3千円のうち、スポーツ振興事業478万9千円の中の、美し国三重市町村対抗駅伝参加事業委託料61万円について説明を求めました。まず、先ごろ行われた今年度の成績は、29市町村の中の22位で、14市の中の13位と言うことでした。成績以上に感じたことは、「委託料を負担してまで、この駅伝に参加する必要性はあるのか?」でした。この委託料に反映されていない市からの費用もあると予測でき(人件費など)、強化するようなプランやメリットも考えていないのに、教育長自らが言われたような「参加することに意義がある的参加」は、これこそ財政難を助長させるようなイベントに感じます。
 県がやるから参加するという仕方なさも感じつつ、県への委託料や負担金など、なかには疑問が残る出費もあるので、TV中継もされないような駅伝の参加は、県としても再考して欲しいイベントです。このように、国や県が地方自治体を苦しめるであろう費用の要求も、今後は地方で検討し直し、声に出していく必要性も感じています。

 以上が私の質問でしたが、その他の項目では、小中学生における携帯電話の実態調査の提案や、尾鷲からも通学している学生がいる、熊野市の近畿大学工業高等専門学校の移転問題などの見解を質問しました。携帯電話の実態調査は、近々検討しているとのことでしたが、移転問題は寝耳に水のような感じでした。確かに、中学校までが教育員会の管轄ですが、尾鷲の卒業生にはかわり無いので、情報ぐらいの入手はして欲しいものです。

 何よりも、尾鷲市に住んでいる子どもたちへの教育は、「将来、未来の尾鷲を支える人材づくり」であり、教科書では教えられない、文化伝統の継承や自然環境への配慮など、独自性が十分に発揮できる施策と予算立てに期待しています。また、予算を減額しながら、それでも学校側にばかり対応を求めるようなことが無いようにもしていただきたいと感じました。
by owase874 | 2009-03-25 15:15 | 定例会の報告


市民活動の延長線上に、市民目線の政治があると考えています。


by kumano874

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当ブログに来ていただきありがとうございます。私が政治に関心をもったのは、災害現場でボランティアとして活動しているときに、どうしても市民活動・NPO活動だけでは届かない声があると感じてからです。1995年の、阪神淡路大震災のときです。それ以降、政策提言できる市民活動を合言葉に、さまざまなことを実践しています(市民派向けのブログもあります。こちらCafe_CReAM モノ語り)。


これまでの思いが実現したのが、2006年11月から、2期6年半在職した尾鷲市議会議員でした。3期目の挑戦には苦杯しましたが、貴重な実体験をさせていただき、条例の制定を中心にした議会改革や、市民活動で培った政策提言を直接できる立場として、負託の重さを実感することができました。

また、尾鷲市議として負託をいただいてからは、この地域ではいち早く、議員活動をお知らせする手段の一つとして、このブログを活用しました。当時のことも含め、日々私が何を感じ、何を考えているかを綴る活動報告にもなっています。なお、2014年5月1日からは、三重県熊野市議会議員として、あらたな1歩を踏み出します。

ときには辛口の意見もありますが、東紀州における公益や市民益を考える一人の意見として読んでいただければ幸いです。

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