みえ尾鷲海洋深層水の取水事故における原因の所在
総務産業常任委員会を傍聴しました。
私の所属委員会とは異なるので、発言はできないのですが、尾鷲市にとっては基幹産業を目指した事業だけに、もどかしい思いをしました。なお、資料をともなった説明では、先だっての全員協議会での報告より詳しい状況が判明しました。
資料
今回の事故では、最初の取水停止より、迅速な対応がなされてきたことは承知しています。所管する新産業創造課においては、かなりの労力と気力を使っていることを感じます。しかし、先の市長の定例会見では、議会側にも報告されていなかったような内容が発表されていたので、新聞紙上で知ったことも併せて、疑問を感じたところです。
その疑問とは、委員会でもふれられておりましたが、「復旧を優先するために、尾鷲海上保安庁に被害届けを提出しなかった。しかも、被害届けを提出したとしても、原因となる船舶の特定は難しい」との内容です。しかも、「原因が船舶のアンカーによるものと推定される」とは、先の全協では触れていなかったように感じたので、この2点において「どの次点で、そのような決定がなされたのか?」ということでした。
確かに、当初は「タコかサメでも詰まってるんだろう」との想像話でしたが、長引くほどに「アンカーがひっかけたんさ」となっていました。これは、まちの想像話に過ぎませんが、市長より「アンカーが原因と考えられる」という判断があった以上は、復旧も大事なのはわかりますが、被害届けが優先されるべきではなかったのでしょうか?また、「原因を突き止めれない可能性が高い」のは、捜査をした結果で出てくる話なので、「もしかも」の話が市長サイドより沸き起こるのもいかがなものかと感じました。
屈曲部分
担当課の説明では、取水停止になる以前から、一部の取水管が露出していた可能性が高いと判断され、約150mに及ぶ露出部分が、最大26.4mも移動していたようです。これより想像できることは、取水停止の原因となった以前から、何度かアンカーに引っ掛けられたのちに、今回は90度に屈曲するほどに、アンカーに引っ張られてしまったとのではないかとなります。また、一部の場所では、当初の水深よりも深くなっていたとのことで、「海底の土砂が流れ出たことで、取水管が露出したとも考えられる」との説明も、「もしかも」に過ぎないと感じた場面でした。
そこで、「施行ミスの可能性」も取りざたされておりましたが、「そういうことはない」とのことでした。しかし、工事確認書がどのように作成され、どのようにして確認したのかなどの質問が出ていなかったので、傍聴していた議員たちとでは、「その確認をしなければ、責任の所在や原因の発端にならないのでは?」と話したところです。なにしろ海底のことですから、万人が目視できるわけもなく、総延長約12kmにも及ぶ全てをどのように確認したのかも気になる大事なところです。
また、このほかにも答弁で気になったことは、「ベテランダイバーでも作業時間は1回5分程度」とありましたが、これはスクーバダイビングを想定した時間と考えられ、潜水士による送気式潜水などを用いれば、長い時間作業に従事することもできます。また、飽和潜水などの技術があれば、より深い場所まで調査や探査ができます(これには大きな費用がかかるでしょうが)。ようは、お金はかかるにしろ、それが全てではないと言いたいのです。
右端が埋設部分のケーブル
さらに、JAMSTECのDONET陸上局から、海底に敷設している光ファイバーケーブルもあるので、今後の対策などを、ともに協議しはじめているともありました。しかし、DONETのケーブルは、取水管と比較にならないほどに径が小さいので、まずは原因をしっかりと突き止めることに尽きると感じています。また、現在は70%程度の仮復旧でしか、取水の再開ができていないので、今後の対応策を検討しているとのことでした。
この原因の所在は、今のところは確証もないあやふやなままです。かといって、誰が一番損をしているのかといえば、利用者となる個人や企業になります。ここを中心に考えていくことは然りですが、それを復旧最優先で被害届けも提出しないでは、同じ轍を踏むことにもなりかねません。避難湾にもなっている賀田湾の状況をみれば、今後も同様の事故は再発するでしょう。それに対しての防護策は、どちらにしても資金面で紛糾することも予想できます。
起こってしまったことを悔やんでも仕方がないのですが、再発防止に繋がるであろう原因の所在を突き止めることは、今後の蓄積データとして貴重な資料となることに違いありません。手放しで喜べないのは、明らかにされない部分があることや、危機管理の甘さを感じるからです。後発である海洋深層水の利活用は、尾鷲市にとっては産業振興のトップバッターでもあります。
本末転倒にならないように、今後も注目していきたい内容です。
私の所属委員会とは異なるので、発言はできないのですが、尾鷲市にとっては基幹産業を目指した事業だけに、もどかしい思いをしました。なお、資料をともなった説明では、先だっての全員協議会での報告より詳しい状況が判明しました。
資料
今回の事故では、最初の取水停止より、迅速な対応がなされてきたことは承知しています。所管する新産業創造課においては、かなりの労力と気力を使っていることを感じます。しかし、先の市長の定例会見では、議会側にも報告されていなかったような内容が発表されていたので、新聞紙上で知ったことも併せて、疑問を感じたところです。
その疑問とは、委員会でもふれられておりましたが、「復旧を優先するために、尾鷲海上保安庁に被害届けを提出しなかった。しかも、被害届けを提出したとしても、原因となる船舶の特定は難しい」との内容です。しかも、「原因が船舶のアンカーによるものと推定される」とは、先の全協では触れていなかったように感じたので、この2点において「どの次点で、そのような決定がなされたのか?」ということでした。
確かに、当初は「タコかサメでも詰まってるんだろう」との想像話でしたが、長引くほどに「アンカーがひっかけたんさ」となっていました。これは、まちの想像話に過ぎませんが、市長より「アンカーが原因と考えられる」という判断があった以上は、復旧も大事なのはわかりますが、被害届けが優先されるべきではなかったのでしょうか?また、「原因を突き止めれない可能性が高い」のは、捜査をした結果で出てくる話なので、「もしかも」の話が市長サイドより沸き起こるのもいかがなものかと感じました。
屈曲部分
担当課の説明では、取水停止になる以前から、一部の取水管が露出していた可能性が高いと判断され、約150mに及ぶ露出部分が、最大26.4mも移動していたようです。これより想像できることは、取水停止の原因となった以前から、何度かアンカーに引っ掛けられたのちに、今回は90度に屈曲するほどに、アンカーに引っ張られてしまったとのではないかとなります。また、一部の場所では、当初の水深よりも深くなっていたとのことで、「海底の土砂が流れ出たことで、取水管が露出したとも考えられる」との説明も、「もしかも」に過ぎないと感じた場面でした。
そこで、「施行ミスの可能性」も取りざたされておりましたが、「そういうことはない」とのことでした。しかし、工事確認書がどのように作成され、どのようにして確認したのかなどの質問が出ていなかったので、傍聴していた議員たちとでは、「その確認をしなければ、責任の所在や原因の発端にならないのでは?」と話したところです。なにしろ海底のことですから、万人が目視できるわけもなく、総延長約12kmにも及ぶ全てをどのように確認したのかも気になる大事なところです。
また、このほかにも答弁で気になったことは、「ベテランダイバーでも作業時間は1回5分程度」とありましたが、これはスクーバダイビングを想定した時間と考えられ、潜水士による送気式潜水などを用いれば、長い時間作業に従事することもできます。また、飽和潜水などの技術があれば、より深い場所まで調査や探査ができます(これには大きな費用がかかるでしょうが)。ようは、お金はかかるにしろ、それが全てではないと言いたいのです。
右端が埋設部分のケーブル
さらに、JAMSTECのDONET陸上局から、海底に敷設している光ファイバーケーブルもあるので、今後の対策などを、ともに協議しはじめているともありました。しかし、DONETのケーブルは、取水管と比較にならないほどに径が小さいので、まずは原因をしっかりと突き止めることに尽きると感じています。また、現在は70%程度の仮復旧でしか、取水の再開ができていないので、今後の対応策を検討しているとのことでした。
この原因の所在は、今のところは確証もないあやふやなままです。かといって、誰が一番損をしているのかといえば、利用者となる個人や企業になります。ここを中心に考えていくことは然りですが、それを復旧最優先で被害届けも提出しないでは、同じ轍を踏むことにもなりかねません。避難湾にもなっている賀田湾の状況をみれば、今後も同様の事故は再発するでしょう。それに対しての防護策は、どちらにしても資金面で紛糾することも予想できます。
起こってしまったことを悔やんでも仕方がないのですが、再発防止に繋がるであろう原因の所在を突き止めることは、今後の蓄積データとして貴重な資料となることに違いありません。手放しで喜べないのは、明らかにされない部分があることや、危機管理の甘さを感じるからです。後発である海洋深層水の利活用は、尾鷲市にとっては産業振興のトップバッターでもあります。
本末転倒にならないように、今後も注目していきたい内容です。
by owase874
| 2010-04-28 01:29
| 産業振興を考える
市民活動の延長線上に、市民目線の政治があると考えています。
by kumano874
ご挨拶とブログの概要
当ブログに来ていただきありがとうございます。私が政治に関心をもったのは、災害現場でボランティアとして活動しているときに、どうしても市民活動・NPO活動だけでは届かない声があると感じてからです。1995年の、阪神淡路大震災のときです。それ以降、政策提言できる市民活動を合言葉に、さまざまなことを実践しています(市民派向けのブログもあります。こちらCafe_CReAM モノ語り)。
これまでの思いが実現したのが、2006年11月から、2期6年半在職した尾鷲市議会議員でした。3期目の挑戦には苦杯しましたが、貴重な実体験をさせていただき、条例の制定を中心にした議会改革や、市民活動で培った政策提言を直接できる立場として、負託の重さを実感することができました。
また、尾鷲市議として負託をいただいてからは、この地域ではいち早く、議員活動をお知らせする手段の一つとして、このブログを活用しました。当時のことも含め、日々私が何を感じ、何を考えているかを綴る活動報告にもなっています。なお、2014年5月1日からは、三重県熊野市議会議員として、あらたな1歩を踏み出します。
ときには辛口の意見もありますが、東紀州における公益や市民益を考える一人の意見として読んでいただければ幸いです。
質問や批評など、ご意見がございましたら、下記宛にお願いします。何かしらの方法で、きちんと対応させていただきます。ただし、ブログのコメントには、できる限り返答をいたしますが、端無自身の裁量になることをお許し下さい。
◆ブログ管理者
未来874事務室
熊野市飛鳥町佐渡462番地
0597-84-1033
kurage874@cream.plala.or.jp
なお、たくさんの意見や考えをお聞かせ願いたいので、直接にお会いすることも可能です。日程調整などしますので、その旨をお伝え下さい。
facebookやtwitterにも登録しています。よろしくお願いします!
これまでの思いが実現したのが、2006年11月から、2期6年半在職した尾鷲市議会議員でした。3期目の挑戦には苦杯しましたが、貴重な実体験をさせていただき、条例の制定を中心にした議会改革や、市民活動で培った政策提言を直接できる立場として、負託の重さを実感することができました。
また、尾鷲市議として負託をいただいてからは、この地域ではいち早く、議員活動をお知らせする手段の一つとして、このブログを活用しました。当時のことも含め、日々私が何を感じ、何を考えているかを綴る活動報告にもなっています。なお、2014年5月1日からは、三重県熊野市議会議員として、あらたな1歩を踏み出します。
ときには辛口の意見もありますが、東紀州における公益や市民益を考える一人の意見として読んでいただければ幸いです。
質問や批評など、ご意見がございましたら、下記宛にお願いします。何かしらの方法で、きちんと対応させていただきます。ただし、ブログのコメントには、できる限り返答をいたしますが、端無自身の裁量になることをお許し下さい。
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