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是々非々でやるということ~本会議での反対討論~

 平成25年度尾鷲市第1回定例会が閉会しました。

 本会議場での採決の前に、議案に対する反対討論を行いました。

■平成25年3月21日 第1回定例会 本会議②
 http://www.ustream.tv/recorded/30149311

 以下に、私の反対討論の原案を掲載します。一部わかりやすいように項目を追加しています。


 尾鷲維新代表の端無徹也です。
 通告に従いまして、反対討論をさせていただきます。

 私が、今回反対する議案は、議案第17号 平成25年度尾鷲市一般会計予算の議決についてと、議案第38号 平成24年度尾鷲市一般会計補正予算(第7号)の議決について、であります。

■反対する議案の内容
 この2つの議案のうち、とくに反対するに至った事業予算としては、議案第17号のなかの、第6款 商工費 第1項 商工費 第3目 観光費の観光施設管理整備事業のうち 第13節 委託費 夢古道おわせ指定管理料 997万5000円と、第9款 教育費 第2項 小学校費 第1目 学校管理費の小学校施設整備事業費のうち 第15節 工事請負費 673万2000円、および議案第38号のなかの、第9款 教育費 第1項 教育総務費 第2目 事務局費の学校耐震整備事業 5億9585万4000円のうち、宮之上小学校に関する予算すべてが対象であります。

 この3つの事業予算について、反対の意志を表明するのですが、これら議案に関わるその他の事業予算すべてについては、とくに反対の意志はなく、付託された常任委員会の審査においても、担当課には概ね納得いく説明をしていただいております。しかし、予算編成の都合上、私が反対する3つの事業予算は、他の事業予算に含まれて議案上程されていることから、結果的には、すべての予算に反対する結果となってしまいます。それ故に、心痛い反対討論であることを申し述べさせていただくとともに、それでも意志表明するに言った経緯を、簡単ですが述べさせていただきます。よろしくお願いします。

■夢古道おわせの指定管理料について
 まず、夢古道おわせの指定管理料についてですが、予算決算常任委員会での審査では、今回より契約更新の上で増額された687万5000円の算定根拠について、当初の説明では不十分との指摘をさせていただき、算定根拠と言われる資料の再提示と説明をいただきましたが、いくら指定管理を事業委託をしているとはいえ、全体にかかる収支報告が示されないなかで、「これまでは、委託先に負担をかけていたので、本来は尾鷲市が持つべき予算の負担を、今回より計上させていただいた」との市長の説明では、とうてい市民への説明責任が持てないと判断するに至りました。

 特段、指定管理を引き受けてくださっている事業者については、当初からの苦労を見聞きしている立場でもあるので、あえて反対することには大きな迷いもありました。しかし、大事な尾鷲市民の予算を使わせていただくからには、事情を知らない市民への説明は不可欠ですので、右往左往する市長の説明だけでは、かえって事業者に迷惑をかける結果を招いたとも受け取れます。先代の尾鷲市が、尾鷲海洋深層水事業に関連した、商工業と観光業の発展を目指した事業展開の一環として、いまの夢古道おわせが位置づけられていることからも、もっと丁寧な説明をいただけるものと期待していただけに、私としては説明責任がもてないことからも、反対の意思表示をさせていただきます。

■尾鷲小学校の外壁整備について
 次に、尾鷲小学校の外壁を整備する工事請負費については、教育長の詭弁ばかりが先行し、挙句の果てには、なんら関係のない子どもの写真を大きく掲げ、子どもを人質にとって、予算や事業の賛同を求めているのではないかと見紛うような行動もありました。教育長が、豊富な知識と教育観を持っておられるのであれば、弁論で述べるだけでなく、これが私の考える尾鷲市の教育だと、新規事業と予算でもって具体策を説明されるべきではないでしょうか?昨年度並かそれ以下程度の予算計上しか見当たらないなかで、なんとも矛盾した行動を見せられるに留まったように感じて成り得ません。

 結果としては、この事業予算が計上されるにいたった尾鷲小学校の耐震整備事業にまで遡ることになり、本来の計画であったログ工法による外壁の整備が、事業計画の遅れで羽目板張りに変わった指示先すらも不明であることまで暴露される事態となり、予算決算常任委員会の審査においても、大きな疑念と不信感を招いてしまいました。この工法の変更が、外壁が急激に変化していく結果を招いたのか、または、当初から議会より指摘されていた雨対策の不備を無視し続けて建築を進めたことによるものなのか、それすらも解決されていないままで、事業予算を計上することへの反発を、いまなお私は持ち続けています。問題解決をしないまま、汚いものには蓋をする体質こそが、子どもにとっては悪影響であり、大人の都合と事情で、子どもを引き合いに出すのではなく、尾鷲小学校の子どもたちにこそ、きちんとした説明責任を果たすことが、われわれ大人に課せられた、もっとも教育現場を統括する教育長には、求められている課題ではないでしょうか?

 ただし、この事業予算については、これからこの予算を賛成されるであろう同僚の皆さまが、この件に付帯決議をつけることを、先の予算決算常任委員会でも話されておりました。その内容には、第三者委員会の設置と、早急な対応策を講じることを柱としていると聞き及んでおりますので、その方向性には大いに賛成する一人でもあります。しかし、根幹となる尾鷲小学校の耐震整備事業については、東日本大震災の前に事業計画されたからとの理由で、なんら津波対策も講じないままの校舎となり、それ以外の経緯も含めて、私は当初から反対する立場を貫いてきています。今回の工事請負費についても、これまでの反省を踏まえて、議会に対応するべきではなかったかのかと感じますので、同じく反対の意思表示を表明させていただきます。

■宮之上小学校の耐震整備計画について
 最後に、宮之上小学校の耐震整備事業についてです。当初は、新年度予算である議案第17号に計上されておりましたが、国の追加補正から前倒しとなり、平成24年度の補正第7号として計上し直されましたので、一般市民にはわかりづらい反対となっていることを説明させていただきます。

 さて、宮之上小学校の耐震整備事業に反対する理由ですが、整備そのものには、現在の校舎の老朽化と不便さなども見聞きしておりますので、なんら反対するものではありません。しかし、平成23年の6月に、当時の宮之上小学校関係者さまからの陳情書にまったをかけたのは、耐震整備を急ぐ気持ちは大いに理解できるけれども、東日本大震災のあの惨状とその後を見たからには、津波や防災に対しての公共施設の在り方を問うべきだと、痛切に感じたからです。このときは、陳情書はそのまま採択されましたが、恐れていたことが現実になってしまったと感じています。

 当時のこの陳情書には、「避難場所や多目的に使用できる施設としての機能を備えた学校」を希望していたにも関わらず、今回示された設計図を見る限りでは、一時避難として使用できる構造にはしているが、避難場所になりえることは想定しておらず、多目的に使用するには、校舎面積が狭く、災害時を想定した設計になっていないことがわかりました。そもそも、現在の宮之上小学校の校舎面積は、4780平米あります。今回の設計で、約2500平米と縮小されたのは、生徒数の減少などから鑑みて妥当とは言えるのですが、これが避難場所にも、多目的にも使えない設定となってしまっています。

 そもそも、宮之上小学校の学区となる地域は、南海トラフを想定した津波の被害を受けやすい低地が多く、北川沿いにも多くの家屋が集中しています。ざっと数えただけでも、約800人を超える住民が住んでおり、さらに周辺の低地を加えると、約1000人規模の人たちが、発災時の津波を逃れて高台に駆け上ることを余儀なくされています。そのすべてが、宮之上小学校に集まることは無いにしても、この周辺の高台で、しかも雨風がしのげる公共施設は、まさに宮之上小学校しかないのです。しかし、その宮之上小学校も、校庭の海抜が約7メール半と低く、想定では校舎1階部分も津波の被害を受けることになります。そのなかで、高台に逃げ遅れた人が集中する可能性が考えられます。また、桜茶屋地域への避難を想定しているとはいえ、ここはただの高台でしかないので、逃げ延びた、または生き延びたあとのことまで想定しておりません。

 だからこそ、私は、当時より東日本大震災を教訓に、宮之上小学校の耐震整備は、今後の津波を意識した設計を希望すると熱弁してきたにも関わらず、こうした防災面での各課のすり合わせはなく、尾鷲市の防災アドバイザーである片田先生のアドバイスすらも聞いていないとの答弁には、はなはだ驚愕しました。このままでは、宮之上小学校近辺の多くの住民は、生き延びても野ざらし、雨ざらしの高台で救援を待つことになります。また、地域住民を想定していない校舎は、一時避難した生徒も含めて、多くの避難者で溢れかえり、だとしても帰る家は流され、壊れており、さらに1階部分が被災したなかで、備蓄される物資も限られることから、まさに地獄絵図の様相となる可能性が大きいのではないでしょうか?

 これまで、市長自らが東北にまで足を運び、多くを学んだと答弁していましたが、何を学んだのかは、公共施設の取り扱いをみても明らかです。かりに、いまの設計が加味されたものであれば、多少なりの私の持論はあるにせよ、その後の方向性には問題はないものと考えるのですが、生徒の一時避難しか考えていない設計となっており、多くの課題がありそうです。もういまさら遅いのですが、校舎を1階分増すとか、ヘリコプターが乗降できるようにしておくとか、奇想天外かも知れませんが、想定外とは言わせない設計を、宮之上小学校には求めていたので、非常に残念ではあります。子どもたちの学び舎は、地域の財産でなければなりません。そこまで考えられないことに、私は唖然とするしかないのですが、市民の生命を自治体の財産とするならば、そういう施策を講じるのが、首長たる責任ではないでしょうか?よって、この事業予算についても、断腸の思いで反対をさせていただきます。

 以上の理由により、私の反対討論とさせていただきますが、これら予算の先には、多くの市民がいることに、大きな責任を感じるからこその反対であります。私がこれまで在職してきたなかでは、議案に対する反対が一番多い議員が私であるそうですが、惑わず流されず、立ち止まることや、反省することはあっても、今後も執行部と対峙でき、打開していく議員として、再びこの壇上で息巻くことができればと感じております。反対討論のご清聴ありがとうございました。
by owase874 | 2013-03-23 07:09 | コラム「温故知新」


市民活動の延長線上に、市民目線の政治があると考えています。


by kumano874

ご挨拶とブログの概要

当ブログに来ていただきありがとうございます。私が政治に関心をもったのは、災害現場でボランティアとして活動しているときに、どうしても市民活動・NPO活動だけでは届かない声があると感じてからです。1995年の、阪神淡路大震災のときです。それ以降、政策提言できる市民活動を合言葉に、さまざまなことを実践しています(市民派向けのブログもあります。こちらCafe_CReAM モノ語り)。


これまでの思いが実現したのが、2006年11月から、2期6年半在職した尾鷲市議会議員でした。3期目の挑戦には苦杯しましたが、貴重な実体験をさせていただき、条例の制定を中心にした議会改革や、市民活動で培った政策提言を直接できる立場として、負託の重さを実感することができました。

また、尾鷲市議として負託をいただいてからは、この地域ではいち早く、議員活動をお知らせする手段の一つとして、このブログを活用しました。当時のことも含め、日々私が何を感じ、何を考えているかを綴る活動報告にもなっています。なお、2014年5月1日からは、三重県熊野市議会議員として、あらたな1歩を踏み出します。

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